新築住宅（一戸建て・マンション）を購入して、建物が完成すると、引渡し前に内覧会が実施されます。その内覧会には、プロのホーインスペクターや建築士を同行する人が多く、このサービスは内覧会同行や立会いサービスと呼ばれています。
何度も住宅を購入する人は多くないですから、初めての内覧会だけに不明点があり、不安になる人も多いですが、一方で本当に専門家に依頼してまで同行してもらう必要性があるのか迷う人も多いです。
そこで、ここでは、新築住宅を購入する人を対象として、内覧会同行の意味、できること、業者の意義など、内覧会の真実を説明します。内覧会同行のことを誤解しない為に「本当のこと」を知っておいてください。本当のことを知ることは、あなた自身にとって、同行依頼が必要なことかどうか見極めるために役立つでしょう。
なお、一級建築士によるマンションの内覧会立会い・同行はこちら、一戸建ての内覧会立会い・同行（竣工検査・完成検査）はこちらです。
内覧会とは？自分たちだけでチェックできるか？
初めての住宅購入で内覧会を初体験の人なら、そもそも内覧会や内覧会同行サービスの基本的なことがわかりづらいことでしょう。この基本から説明します。
内覧会とは？
新築住宅の内覧会とは、主に以下の2つの意味があります。
- 完成した建物を買主にチェックしてもらう機会
- 住宅購入や新築を検討している人にモデルハウスとして公開すること
前者は、内覧会の代わりに「竣工検査」や「完成立会い」などと呼ぶこともありますし、後者は「完成見学会」などと呼ぶこともあります。ここでは、前者、つまり竣工検査としての内覧会について説明しています。
この内覧会では、建物の完成状態において、施工不具合の有無を買主がチェックします。施工不具合が見つかれば、売主または施工会社に指摘して補修対応してもらうためです。
内覧会同行サービスとは？
建物の施工不具合をチェックすると言っても、建築知識や経験がない一般の人にとってはハードルが高いですし、高額な買い物なのに、自分で適切にチェックできるかわからず、不安になる人は多いです。
そこで、建築知識・経験が豊富な専門家に同行してもらって、買主に代わって、もしくは買主と一緒にチェックしてもらうサービスが、内覧会同行サービスです。
自分たちだけでチェックできるか？
「内覧会は本当に自分たちだけでチェックすることはできないのか？」
このように考える方は少なくありません。知人・友人から内覧会の話を聞いたり、インターネットで多くの情報を目にするうちに不安になった方もいます。依頼したいものの、専門家のサービスに支払うべき費用もかかりますので、迷うのも無理はありません。
内覧会の立会い・同行を行う業者のなかには、消費者の不安を実態以上に煽り、依頼を受注しようとするケースも見られます。弊社は「いたずらに消費者の不安を煽らない」というポリシーに則り、内覧会の本当のことを以下のようにお伝えします。
一戸建ての場合
専門家への同行依頼をお勧めします。構造耐力や防水、断熱などのように建物における基本性能に関わる点で確認できる範囲があり、そこで施工不具合が見つかるケースも多いからです。
マンションの場合
専門家への同行依頼は、必要とする方とそうでもない人にわかれます。マンションでは、構造耐力や断熱などの基本性能に関わる点で確認できる範囲が非常に限定的であり、調査対象が、内装仕上げや設備の動作チェックなどに限定されるからです。
一戸建てとマンションでは、専門家の同行サービスの必要性や効果が異なるということです。もちろん、個々の判断で依頼の是非を慎重に検討してください。
マンション内覧会のホントのトコロ
マンションの内覧会は、施工上の不具合をチェックする機会です。しかし、実際には内覧会時に発見されずに入居後に発見された不具合も、売主に補修してもらえることは非常に多いです（アフターサービスがあるからです）。
そのような内覧会のホントのトコロを挙げると以下のとおりです。
- 不具合は、入居後でも対応できることが多い
- 生活に影響を与えるような大きな不具合・問題事項は、それほど多くない
- プロが動く以上は、それなりに大きな費用がかかる
- 内覧会で発見されなくとも、再内覧会や入居後の定期点検もある
いかがでしょうか？
専門家（業者）に依頼するかどうかの判断材料にしてください。ほかにも次のことを覚えておきましょう。
内覧会で「欠陥マンションかどうか見て欲しい」と言われることがあります。マンション内覧会は、主に専有部分の内側（表面的な部分）と共有部分の一部のみしか調査することができません。
建築物の構造部分に欠陥があるかどうかを判断するには、基礎・構造を検査する必要があります。でも、内覧会ではそれができないのです。マンションの致命的な欠陥が心配なのであれば、どんなに優れた専門家（業者）に内覧会への立会いを依頼しても、その点での安心は得られませんので、お気を付けください。
つまり、マンション内覧会で発見できることは、極論すれば、仮にそのままであっても住めないことはないものです。
内覧会同行のプロへの依頼は１００％無駄か？
それでは専門家に同行してもらうことは完全に無駄なことかと言えば、そうではありません。以下のようなメリットが考えられます。
- 入居後に補修工事を行うのは面倒である（時間や労力を費やす）
- プロがいる方が交渉し易い、判断がより正確である
- 素人が気づかない点も指摘してもらえる
- 売主側に誤魔化されない（指摘した時の売主側の「こんなものです」が本当か判断します）
- 指摘して良いかどうかわからない点を判断・アドバイスしてもらえる
こうして見ると専門家（業者）に同行してもらうメリットがあるのも確かです。「内覧会のホントのトコロ」と「プロに同行してもらうメリット」をよく比較して判断することが必要です。マンション内覧会に関しては全ての方が、依頼するべきだとは思いません。
一戸建て住宅の場合は、構造部分の一部を確認できるため、できれば専門家（業者）に同行して頂くことを推奨いたします。