新築住宅を購入した後、3ヶ月または6カ月を経過した頃に実施される住宅点検を3ヶ月点検やと6カ月点検と言います。6カ月点検は、半年点検と呼んでいる建築会社もあります。
住宅を購入したことが初めての人にとっては、はじめて迎える3ヶ月または6カ月点検ですから、この点検のことについてもわからないことが多いのはやむを得ないでしょう。
その住宅の売主や建築したハウスメーカーから、点検の打診があったときに、「何を点検するのか?」「売主側に全て任せておいて大丈夫だろうか?」「自分でも点検すべきだろうか?」と不安や疑問を持つ人もたくさんいます。
今回の記事では、以下の人を対象として、新築後すぐに実施される3ヶ月点検や6カ月点検についての基礎知識と注意点、チェックポイントを解説します。
この記事が役立つ人
- 新築住宅を購入後、3ヶ月または6カ月点検を迎えようとしている人
- 売主またはハウスメーカーから3ヶ月または6カ月点検を打診された人
- 新築購入後すぐに、建物の不具合に気づいて心配している人
それでは、ここでマイホームの点検に関する基礎知識を習得して、適切な住宅のメンテナンスや維持保全に活用してください。
新築住宅を購入後の3ヶ月点検と6カ月点検(半年点検)とは何か?
新築住宅を購入し、引き渡しを受けた後、3ヶ月や6カ月といった期間が経過した頃には、売主やハウスメーカーによる住宅点検が行われることが多いですが、その点検の基礎的なことを説明します。
3ヶ月点検も6カ月点検も定期点検の一種
新築住宅を買った後、3ヶ月または6カ月経過した頃に実施する点検は、定期点検と言われるものです。その住宅で生活し始めてから感じた不具合の確認、居住者が気づいていない不具合の確認などをする機会で、何か不具合などの問題が見つかれば、補修などの対応をしていくことになります。
その先は、1年点検や2年点検が実施されることも多いですし、ハウスメーカーによっては、5年点検、10年点検も実施していることがあります。
点検する人
3ヶ月や6カ月点検を実施する人は、その住宅の売主または建築したハウスメーカーの従業員であることが多いですが、一部では、売主などが委託した外部の点検業者が実施することもあります。
ただし、売主側で実施するからといって全てお任せにしてしまうのではなく、所有者としても自分たちで何かおかしな症状がないか?という意識をもって建物全体を確認しておくことをお勧めします。
点検の流れ
定期点検を行うまでの流れは、以下のような形が多いです。
- 売主・ハウスメーカーから定期点検の案内が届く
- 日程調整を行う
- 現地で点検を実施する
- 結果報告
定期点検の案内は、その会社や担当者によって異なり、文書・E-mailなどで送付されてくることもありますが、電話で案内されることもあります。
点検後の結果報告は、その場で簡単な書面を渡される程度のこともあれば、後日に報告書が送付されることもあります。補修工事などの対応が必要な場合、報告書提出と同時に提案されることもあります。
売主やハウスメーカーの定期点検は無料が一般的
一般的には、売主やハウスメーカーが行う3ヶ月点検や6カ月点検(半年点検)は無償であることが多いです。もっと先に実施する5年点検や10年点検は有償としているケースもありますが、2年以内に実施する定期点検は無料の方が多いです。
費用がかかるかどうかは、売主などへ聞くか、契約書やアフターサービス基準書などで確認するとよいでしょう。
住宅の3ヶ月や6カ月点検(半年点検)が無いこともあるので要注意
住宅の引き渡し後に行う3ヶ月や6カ月点検が無いと相談を受けることがあります。何も点検してくれないと不安になる気持ちも理解できますね。点検しない業者がいることについて説明しておきます。
住宅の3ヶ月や6カ月点検は義務ではない
新築住宅の引き渡し後に行う定期点検は、基本的には義務ではありません。あくまでもアフターサービスの一貫として行われるものです。このことは、3ヶ月点検でも6カ月点検でも同じです。
よって、このような点検をするかどうかは、契約前に確認しておくべきことなのですが、既に契約後や引き渡し後なら遅いので、前述したように契約書やアフターサービス基準書などで確認してください。
これらの書類に定期点検のことが明記されていなくとも、それだけで諦める必要はありません。小さな住宅メーカーや工務店の場合、明記していないだけで当然のように点検しにくることもあるからです。明記されていない場合は、住宅メーカーなどへ聞くとよいでしょう。
一部の売主や建築会社は実施していない
一般的には、まだ新しい住宅である3ヶ月や6カ月のタイミングで点検することが多いものの、実施していない会社があるのも事実です。「6カ月点検をしないのですか?」と聞くと、平気で「何ですか、それは?」「していません」と言われてしまうこともあります。
高額な買い物にも関わらず、アフターサービスがそのレベルとなれば、残念な対応ですね。しっかり、自分で点検するか、第三者のホームインスペクションを利用するか検討するとよいでしょう。
所有者から言わないと点検に来ないこともある
アフターサービス基準書などに定期点検をすると明記していたり、口頭で点検に行くと聞いていたりしても、売主側から打診してこないことも少なくありません。所有者から「気が付けば、入居してから1年近く経つのに、一度も点検に来ていなくて心配だ」と伺うことは何度もありました。
そういった場合でも、所有者から「もう3ヶ月を過ぎているのに、まだ点検しないのか?」と聞いてみましょう。「あ~、そろそろ連絡しようと思っていたところです」などと言われることも多いです。
売主やハウスメーカーが行う住宅の定期点検の注意点
3ヶ月でも6カ月でも売主やハウスメーカーが行う定期点検を信頼してよいかと心配する人もいます。利害関係の問題があるからですね。この点について説明します。
売主やハウスメーカーが行う住宅の定期点検は重要
建物を点検することで、その時点の状態を把握し、必要な補修・メンテナンスを早めに実施する機会を得られるわけで、住宅を良い状態で長持ちさせるための早期発見・早期対応は大事なことです。そういった意味で、売主やハウスメーカーが行う定期点検はたいへん重要なものです。
売主・ハウスメーカーは不具合が見つかることが嫌だ
一方で、住宅オーナーとして知っておくべきことがあります。それは、売主側の本音の部分です。
点検によって何か不具合が見つかり、それが売主側の責任によること(施工ミスなど)であれば、売主の負担で補修などの対応をしなければなりません。それには、手間やコストがかかります。
それだけに、点検はするものの、何も不具合が見つかってほしくないと考えるものです。不具合が無い方が良いのは住宅オーナーも同じですね。
施工ミスの隠蔽や過小報告に要注意
売主側としては、補修などの対応を嫌がるあまり、点検で見つかった施工ミスを隠蔽するケースが見られます。もしくは、過小報告して、大きな問題であっても、心配するような症状ではないと間違った説明をするケースもあります。
たとえば、床下で基礎の著しいひび割れが見つかったのに、「何も影響がないので、そのままにしておいて大丈夫」と説明しているケースや、屋根裏で断熱材が隙間だらけになっていたのに、点検口近くの見やすい箇所だけ是正して、奥はそのままで報告もしないケースなどが確認されています。
住宅点検には客観性が重要
定期点検において見つかった問題点を正直に、ありのままに所有者へ報告・説明してくれるかどうかは、その会社や担当者の誠実さによるところが大きいです。
また、ハウスメーカーが委託した業者による点検でも、あまり細かなことを指摘していると、継続的に仕事をもらえなくなることを考えて、過小報告する可能性があります。
やはり、住宅の点検には客観性、第三者性が大事だということです。契約するときや引渡し前などの
タイミングで第三者のホームインスペクションを依頼していたなら、引き渡し後3ヶ月や6カ月で再び依頼する必要性は低いですが、引渡しまでに依頼していない人は、この機会に検討するよとよいでしょう。
3ヶ月点検と6カ月点検のチェックポイント
新築してから間もなくの時期に行う3ヶ月点検、6カ月点検におけるチェックポイントを紹介します。ハウスメーカーなどによって、点検する項目や調査範囲は異なりますが、これが1つの目安です。
建物の外装
屋外では、基礎・外壁・雨樋・屋根が点検の対象です。ただし、屋根はその形状などによってはほとんど確認できないことや全く確認できないことも少なくありません。ひび割れや欠損、はがれ、変色などから、構造耐力や雨漏りに関わる問題を確認することが主となります。
建物の内装・設備
屋内(室内)の床・壁・天井、建具、水回り設備(キッチン・トイレ・浴室など)が点検の対象です。目視や動作チェックで異常の有無を確認していきますが、水回り設備では排水テストで漏水有無を確認することも多いです。
床下と小屋裏(屋根裏)
点検口から、床下と小屋裏(屋根裏)の内部状況を点検します。点検口から覗いて確認するだけの場合と、奥まで点検者が進入していって確認する場合があります。もちろん、後者の方が奥まで点検できるので、お勧めです。漏水の有無、断熱材の状態、構造金物の緊結状態など、様々な項目を点検することができます。
3ヶ月点検・6カ月点検(半年点検)の準備
ここまで読んで頂くと、3ヶ月点検・6カ月点検(半年点検)のことを概ね理解できたことでしょう。最後に、所有者がこれらの点検を迎える前に準備しておくことを紹介します。
- 自分たちでもできる範囲の点検を行う
- 点検結果(気になる箇所)をリストアップする
- 売主側の点検時にそれを伝えて診てもらう
これは、必ずしておきましょう。
また、前述しましたが、もし、新築時の引渡しまでに第三者のホームインスペクションを利用していないなら、利用することも考えましょう。売主側の点検結果に納得できないときに利用するのも1つの方法です。
執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。