すまい給付金の要点

住宅を購入しようと物件探しをしているときやもう契約を締結しようとしているときに、「すまい給付金」という言葉を耳にしたことはありませんか?

給付金というからには、住宅を購入すれば何らかのお金をもらえるのではないか?と思いますね。この給付金は全ての人や物件が対処になるわけではありませんが、対象になる可能性がありますから、給付される条件を確認しておくべきでしょう。

不動産会社の営業マンも詳しく知らないことが多くて、すまい給付金のことを教えてもらえないまま取引を進め、チャンスを逃している人もいますから注意してください。

すまい給付金とは?

すまい給付金について基礎的なことから説明します。正式な名称は既に記載しているように平仮名で「すまい」と書きます。決して住まい給付金ではありません。

このすまい給付金とは、住宅を購入もしくは新築する人のうち、物件と人が一定の要件を満たす場合に給付金をもらえる制度です。詳しくは後述しますが、簡単に言えば消費税の増税による影響を抑えるために設けられたものです。

住宅ローン減税との違い

住宅購入時の減税政策として有名なものに、住宅ローン減税というものがありますが、これは知っている人も多いでしょう。

この住宅ローン減税は、所得税等から控除されるのですが、所得(収入)が低い人ほど、もともと収めている所得税等が少ないため、減税メリットがあまり大きくありません。所得の多い人にとってメリットの大きな制度になっているのです。

これに対して、すまい給付金は、住宅ローン減税だけでは、税金の負担軽減が十分ではない人(収入が少ない層=納めている所得税等が少ない層)に対して、消費税の増税による負担軽減をはかるものです。

すまい給付金の必要性

平成26年(2014年)4月から消費税率が5%から8%にあがりましたが、その影響により住宅購入に際して生じる消費税の負担が大きくなりました。この影響を平準化すること等を目的に、住宅購入時の消費税の負担増を緩和するため、平成25年(2013年)10月にすまい給付金について閣議決定されました(参照:国交省HP「すまい給付金について」)。

さらに、令和元年(2019年)10月から消費税が10%にあがっていますね。このときには、給付金の給付額の上限が最大30万円から最大50万円に拡充され、対象者も拡充されました。

住宅購入・新築は消費税の増税の影響が大きい

住宅の売買や新築工事においての消費税は、土地代金にはかからず建物代金のみが対象になっています。建物のみとはいえ、その金額が大きいために消費税の金額も大きく、増税の影響は大きなものとなります。

仮に、建物価格が1,500万円であれば、税率によって以下のような差があります。

  • 5% → 75万円
  • 8% → 120万円
  • 10% → 150万円

住宅を買ったり建てたりする人にとって影響が大きいのは言うまでもありませんが、これにより住宅を売りづらくなる不動産会社やハウスメーカーにとっても影響が大きいです。つまり、すまい給付金は、消費者だけではなく、事業者にとっても必要なものだと言えます。

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対象物件と対象者の条件

すまい給付金は、全ての住宅が対象になるわけではありません。この点、勘違いしている人もいるので理解しておきましょう。

基本的な要件

すまい給付金には、実は良質な住宅の蓄積を促していく目的もあるため、住宅の質に関する要件があります。要件は住宅ローン利用者であるかどうかにより、異なります。

【住宅ローンを利用する人の要件】

  • 自らが居住すること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 工事中の検査により品質が確認されている(新築住宅の場合)(※1)
  • 売買時等の検査により品質が確認されている(中古住宅の場合)(※2)

※1には次のいずれかが該当します(新築住宅)。

  • 住宅瑕疵担保責任保険に加入している
  • 建設住宅性能表示制度を利用している

※2には次のいずれかが該当します(中古住宅)。

  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している
  • 既存住宅性能表示制度を利用している(耐震等級1以上に限る)
  • 建設後10年以内で新築時に住宅瑕疵担保責任保険に加入しているか、建設住宅性能表示制度を利用している

【現金で購入する人の要件】

住宅ローンを利用する人の要件に加えて、以下の要件が追加されます。

  • フラット35Sの基準を満たす(新築住宅の場合)
  • 引渡しの年の年末時点で50歳以上
  • 収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.3万円以下)

消費税がかからない不動産は対象外

すまい給付金は、消費税の増税との関係でできたものですから、逆に言えば、消費税のかからない不動産は給付金の対象となりません。前述したように土地代金には消費税がかかりませんし、個人が売主の不動産(建物であっても)にも消費税がかかりません。事業者が売る住宅は消費税の対象ですが、個人が売るものは対象ではないのです。

個人が売る不動産の代表格は自宅、つまり中古住宅の売却です。よって、中古住宅を買う人は給付金の対象外であることも多いです。

つまり、土地のみを購入しても、個人が売主の中古住宅を購入してもすまい給付金はもらえないということです。

中古住宅で給付金をもらえる条件

売主が個人である物件は対象外ですが、不動産会社が売主ならばこの給付金の対象になります。不動産会社が買い取って再販する物件は、対象になるということです。しかし、前述した基本的な要件を満たす必要はありますので、ご注意ください。

対象期間・申請方法

すまい給付金の対象期間や申請方法などについて説明します。

すまい給付金はいつまでか?(対象期間)

平成26年(2014年)4月以降の引渡しから、令和3年(2021年)12月までに引渡し・入居した住宅が対象です。その申請期限は、引渡しから1年3ヶ月以内になっています。自ら申請する必要がありますので、忘れないでおきましょう。

申請方法

住宅ローン減税のように確定申告するのではなく、すまい給付金事務局への郵送またはすまい給付金申請窓口への持参により申請することになります。一方で、住宅事業者等が申請手続きを代行することもできます。

住宅を2人以上で共有する場合、その所有者のそれぞれが申請する必要がありますので、夫婦の共有とするなら、2人ともが申請しなければなりません。


すまい給付金のことは、すまい給付金事務局のサイトが非常に詳しいので、該当する人は見ておきましょう。

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執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。
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住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。