AIサービス「ChatGPT」が住宅購入に役立つか試してみました

普段は、真面目に(?)住宅購入や建築に役立つこと、ホームインスペクション(住宅診断)のことを解説・紹介しているコラムですが、今回は少し息抜きということで、住宅購入などに役立たない記事を書いてみました。ご了承ください。

皆さん、「ChatGPT」というAIサービスをご存じですか?

聞いたことがあるという人はかなり増えたと思いますが、IT・WEB関係の仕事をしている人を除いては、実際に使ってみたという人はまだまだ少数派だと思います。執筆者も、IT・WEB関係の仕事をしているわけではなく、仕事で使っているだけですから、別にこの方面に詳しいわけでも何でもありません。

ChatGPTは、アメリカのOpenAI(オープンAI)という会社が開発したAIチャットサービスです。このチャットで何かを質問などすると、AIが回答してくれるというもので、その利便性や革新性、今後の発展性などから期待度が高いサービスのようです(その方面の素人ですので、断定しません)。

プログラミングをやってくれたり、英会話の学習に使えたりと、各方面で様々な可能性について、期待されているようです(既に利用もされています)。

そこで、住宅業界に長くいる者として、住宅購入者が現状でどれくらい使えるのか試してみたくなりましたので、その試した結果を紹介してみます。あくまでも、IT素人が試した結果ですので、気軽に「ふ~~~ん」というくらいの感覚でご覧ください。

建売住宅を購入するときの注意点

まず、最初にChatGPTで試した質問は、「建売住宅を購入するときの注意点を教えてください」というものです。

その結果が以下のとおりです(スマホの方は画像を拡大してご覧ください)。

建売住宅を購入するときの注意点を教えてください

ChatGPTの回答は、

  1. 建築物の検査を受ける
  2. 建築業者の信頼性を確認する
  3. 建物の仕様を確認する
  4. 建物の価格を比較する
  5. 契約内容を確認する

という5点でした。それぞれの詳細は上の画像で確認してください。

なかなか、的を得た回答ではないでしょうか。

ホームインスペクション(住宅診断)を事業としているアネストとしては、きちんと「建築物の検査を受ける」が含まれていることが嬉しく感じました。しかも一番目でした!

この回答に「ありがとうございます。よくわかりました。」とお礼を返すと、「どういたしまして。何か他に質問があれば、いつでもお聞きください。お力になれるように努めます。」と返ってきました。
人と会話しているかのようで、且つ非常に丁寧な対応に驚きます。

そこで、せっかくですので、もう少し掘り下げて質問してみることにしました。
その質問は「追加オプションには、どういうものがありますか?」というものです。

この質問は、最初の質問への回答文の「3.建物の仕様を確認する」のなかに出てくる「追加オプション」を受けて、掘り下げて確認しようとしたものです。その結果が以下のとおりです。

追加オプションには、どういうものがありますか?

ChatGPTの回答は、

  1. 床暖房
  2. 太陽光発電システム
  3. キッチンや浴室のリフォーム
  4. インテリア・エクステリアの設備
  5. セキュリティシステム

というもので、今回も各項目に関する補足説明がついていてわかりやすいです。
このなかで、「3.キッチンや浴室のリフォーム」は、建売住宅の追加オプションとしては少し???ではありますが、概ねおかしくありません。

一級建築士の建売住宅の住宅診断で安心できる

住宅購入者向けに売却中の物件の紹介はしてもらえるか?

次に試したのは、住宅を購入したい人が、ChatGPTで物件探しができるかどうかです。

これは、ハードルが高くてさすがに無理だろう、具体的な物件など紹介できるはずがないだろう、などと思いながら試してみました。

質問の仕方に少し難しさも感じましたが、「渋谷区で8,000万円くらいのマンションを購入したいので紹介してほしい」と送信してみました(実際にこのような物件を探しているわけではないですが)。その結果が以下のとおりです。

渋谷区で8,000万円くらいのマンションを購入したいので紹介してほしい

なんと!4物件も紹介してくれました。

具体的なマンションの名称とともに、最寄り駅や駅からの徒歩での所要時間、所在地、専有面積、価格、建築年まで回答されています。

※築年数と表示されていますが、実際は経過した築年数ではなく、建築された年を表示されていますが、それくらいはご愛敬ということで。

ただし、冒頭に「物件の情報は2021年時点のもの」と記載されており(試したのは2023年2月)、現時点で物件探しに直接に役立つわけではありません。しかし、これは今後の発展に期待できるかもしれませんね。最新情報が網羅され、物件情報の掲載元へのリンクが貼られるなどすれば、面白いかもしれません。

住宅の売買価格の相場

今度は、住宅の価格相場を教えてもらえるかどうかです。
以下のとおり、大阪府吹田市で建物面積が30坪位の中古住宅の相場を質問してみました。

大阪府吹田市で建物面積が30坪位の中古住宅の相場

中古住宅の価格帯として、3,000万円~5,000万円と回答されました。その上で、立地・環境・築年数・状態・間取り・駐車場の有無などによって、価格が異なることも説明されています。また、需給バランスや市場動向のことまで注意書きのように表示されています。

本当にご尤もだと思います。

試しに、suumoにて、大阪府吹田市で建物面積が90平米~110平米の物件を検索してみると、2000万円半ば~8,000万円台後半まで幅広い物件が掲載されていました。ChatGPTの回答は、概ね中央値を回答してくれているのかもしれません。

そこで、もう少し掘り下げてみることにして、「築10年くらいの住宅に絞るといくらくらいですか?」と質問しました。その結果は以下のとおりです。

築10年くらいの住宅に絞るといくらくらいですか?

大阪府吹田市の相場を尋ねた続きで質問したのですが、「2500万円~4,000万円」は安すぎるようですので、絞り込みしたのではなく、新たな質問として受け付けられた可能性が高いです。こちらの質問の仕方が悪かったと思われます。

そこで、もう一度、「大阪府吹田市で建物面積が30坪位で築10年位の中古住宅の相場はいくらくらいですか?」と尋ねてみました。その結果が以下です。

大阪府吹田市で建物面積が30坪位で築10年位の中古住宅の相場はいくらくらいですか?

少し質問が難しかったか、または質問の仕方が悪かったかもしれません。ただ、これも使い方次第で役立てられる可能性を感じます。

ホームインスペクションについて尋ねてみた

最後に、アネストの提供サービスでもあるホームインスペクションについて尋ねてみることにしました。「ホームインスペクションとは何ですか?」というものです。

ホームインスペクションとは何ですか?

しっかり、ホームインスペクションについて説明してくれましたが、日本で行う一般的なホームインスペクションとは異なる点がいくつか見られました。それは以下の点です。

  • 周辺の環境
  • 不動産鑑定士
  • 地盤

というところです。周辺環境や地盤調査は一般的なホームインスペクションには含まれていませんし、不動産鑑定士が行うこともありません(建築士も兼ねている場合は別)。

しかし、購入者や売主にとってのメリットまで説明されていて、驚きました。凄いですね。

※参照:アネストのサイト内で解説している「ホームインスペクションとは?

最後に「お勧めのホームインスペクション業者を教えてください」と尋ねてみました。

お勧めのホームインスペクション業者を教えてください

ホームインスペクション業者の推奨はできないとのことです。フェアですね(笑)。
ただし、代わりに業者選びのポイントを回答してくれました。親切です。

ChatGPTが住宅購入に役立つか試した感想

ChatGPTを住宅購入に役立つかどうか試したと言っても、本当に僅かなテストですから、軽い感想程度ということでご容赦ください。

まず、単純に面白いし、将来性を感じました。これを使ったサービスを出てきて、大変便利になるのかもしれません。日本語でも丁寧、且つ親切に回答してくれます。これだけ丁寧だと、ちょっと可愛いです。ロボットペットの意義が少しわかったかもしれません。

次に、回答の精度ですが、一部でおかしなこともありますので、一般消費者が住宅購入に関わる知識・情報の学習に使うにはリスクもありそうです。間違った回答があるからです。とはいえ、役立つ回答もあったので、使い方次第だと感じます。

ホームインスペクション(住宅診断)のアネストが創業してから20年になりますが、その間の社会・業界の変化が大きかったように感じます。しかし、ChatGPTによって、また次の変革がもたらされるのかもしれません。注視していきたいところです。

今回は、住宅購入者や建築を考えている人に役立つ情報というわけではなかったですが、たまには脱線した話でも悪くなかったでしょうか。

アネストの住宅インスペクション

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執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。
住宅
ホームインスペクション

住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。