一戸建て住宅は、建物に関することだけでもチェックすべきポイントが多数あります。購入後や引渡し、入居後に建物の不具合や施工ミス、著しい劣化などの被害にあうリスクがあるため、しっかりチェックしなければなりません。
ここでは、新築一戸建て(完成物件)と中古一戸建て住宅の購入に際して、住宅診断(ホームインスペクション)の専門家がチェックする項目を開示していますので、このチェックリストを参考に必ず建物を確認しておきましょう。
建物の外部(屋外)のチェックリスト
建物の外部については、基礎の外側や外壁面のほか、軒裏もチェックしておくべきです。屋根は上がって見るわけにもいきませんので、庭やベランダなどから目視できる範囲で確認しておきましょう。また、門扉や塀などの外構も確認しておくと良いでしょう。
指摘事例
(基礎コンクリートのひび割れ)
建物の耐久性にマイナスです。ひび割れによっては構造的な瑕疵の場合もある。
(外壁のシーリングの破損)
シーリングの破損部分から、漏水するリスクがある。
(玄関ポーチのタイルの浮き)
早期にタイルが割れるリスクがある。
(バルコニーのサッシ下のひび割れ)
漏水のリスクがある。
(サッシ下側の隙間)
漏水のリスクがある。
(換気口の位置が低い)
大雨の際に雨水が床下へ侵入し、カビ・腐食等の問題につながる。
(手すりの高さが法令違反)
法令違反の住宅となり、且つ転落のリスクがある。
(屋根の越境)
越境物は将来、隣地とのトラブルになる。
チェックリスト
○基礎
ひび割れ(構造上問題があると思われるもの)
ひび割れ(構造上問題がないもの)
仕上材の剥離・欠損
仕上材の浮き
基礎表面のカビ、変色、シミ
ジャンカ
著しい傾き
鉄筋の露出
白華現象
基礎パッキン及び水切りの状況
換気口の状態
蟻道
○外壁
ひび割れ(構造上問題があると思われるもの)
ひび割れ(構造上問題がないもの)
仕上材の剥離・欠損
仕上材の割れ
仕上材の劣化
仕上材の浮き
仕上材の腐食、カビ
仕上材の錆
防水シートの破断
シーリング材の破断
設備器具の固定箇所及びスリーブ周囲の防水状況
○屋根
著しい割れ
著しい欠損
著しいずれ
腐食
仕上材の色褪せ
保護層の著しいせり上がり
防水層の破断
破風の塗装落ち
水切り等金属部の錆・腐食○軒裏
ひび割れ
欠損
漏水痕
浮き
剥がれ
腐食
軒裏換気口の状態
○雨樋
破損
ひび割れ
掴み金物のぐらつき
つまり○バルコニー
床の沈み
床の欠損
腐食
防水層の破断
床の勾配
排水溝の勾配
排水口のつまり
オーバーフローの有無
手すりのぐらつき
支持部の欠損
支持部の割れ
支持部の腐食
立上り壁(内側)の欠損
立上り壁(内側)の割れ
物干し金物の取付状態
物干し金物の動作
○屋外階段
著しい損傷
構造部の欠陥
腐食
著しい錆
手すりのぐらつき
○外構
ブロック塀、フェンス等の不良
アプローチの不良
玄関・車庫の門扉等の不良
電気・ガス・水道の各メーターの設置場所の使い勝手、見易さ
雨水・雑排水・汚水桝の設置状況
蟻害
門柱等の設置物の著しい劣化・異常
犬走り・テラス・地面の勾配・著しい陥没
排水溝のつまり、勾配
○玄関ポーチ
床の仕上げ
壁・天井の仕上げ
照明の点灯
深部抜けの取り付け
インターホンの動作
○その他
隣地境界
道路境界
屋根・雨樋等の構築物の越境
植栽の明らかな越境
屋外シンクの使用可否、設置状況、赤水
チェックリストの一覧
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)建物外部編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)床下・屋根裏編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)玄関・居室等編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)台所・洗面等編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)和室・設備編
ご自身で建物をチェックすることが困難な場合は、専門家に依頼することもお考えください。物件種別に応じて以下のサービスがあります。
サービス一覧
執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。