建物の築年数は、中古住宅を買う人にとって大きな関心事です。古い住宅よりは、できる限り新しい方がよいと考える気持ちはよくわかります。
しかし、築年数という数字にばかり意識がいきすぎて失敗する人もいるので注意が必要です。今回は、そういった失敗をしないための築年数と建物の状態に関するお話です。
築年数が浅くても建物の劣化がひどいこともある
中古住宅の購入を迷っている方のなかには、「中古なので不安」「古いし構造的に大丈夫かな」などといった建物の状態に対して不安を抱いている方が多いです。せっかく住宅を購入してもすぐに居住できなくなるようでは、その後の人生設計に関わる大問題となりますし、予定外の大きなコストのかかる補修工事をしなければならない状況になっても困ります。
築年数と建物の状態は別問題
そういった考えから、同じ中古住宅を買うにしてもできる限り築年数の浅い物件にしようと考えている方も多いのではないでしょうか。その考えは間違ってはおりませんが、築年数が浅い物件であっても建物がしっかりしているかどうかは別問題であることをよく理解しておくべきです。
一般的には、同じエリアで規模などの条件も同程度であれば築年数が浅いほうが高くなります。建物が古いほど売買価格が下がっていくのが日本の中古住宅市場なのです。
しかし、築年数のわりに建物の状態がよくないという事例は多いです。アネストでは、毎年、たいへん多くの住宅診断(ホームインスペクション)をしており、様々な築年数の建物を診断してきました。そのなかには、築10年であるにもかかわらず20年を超える住宅とかわらないぐらいに劣化が進んでしまっている物件がいくつもありました。
築年数以上の劣化が価格に反映されていないことが多い
築20年や25年なのに、築30年や40年かと思われるような住宅もありました。こういった築年数に相当しない状態で、非常に劣化が進んでしまっている住宅が、その分、安く売却に出されているのであればそれも購入動機の1つになると言えます。
しかし、建物の状態が不動産会社による査定に影響を及ぼすことはない、もしくは影響しても軽微なものであるため、買主が多少の値引き程度で買ってしまうと損をすることもあるのです。
不動産会社のほとんどには、建物の状態を診断して見極めていくだけの能力はありません。それを求めても専門性が異なるために無理があるものです。不動産会社の営業マンは、建築のプロではないですから、仕方ないとも言えるのです。
建物の構造耐力に影響を及ぼすような基礎・土台等の著しい劣化、防水性能上の影響を及ぼすような外壁・バルコニー周りの著しい劣化などがあることを理解し、こういったことがあまり価格に反映されていないことが多いことは、買主としては注意しておきましょう。
中古住宅選びは自分の目で。専門家の利用も考える
中古住宅を選ぶときには、自己責任でその建物の状態を確認しなければならないのです。築年数のわりにひどい建物ではなく、築年数相当かもしくは築年数のわりによい状態の建物を購入したいものです。そのための1つの方法が第三者の専門家による住宅診断(ホームインスペクション)です。
今は、中古住宅を購入する前に住宅診断(ホームインスペクション)を利用する方は多いですから、検討してみてください。ちなみに、不動産会社が提携している住宅診断会社では診断結果を信用できないケースもあるため、ご自身で会社を探して依頼するようにしましょう。
ちなみに、不動産会社で営業などをしている人も、自分がマイホームを購入するときには、住宅診断(ホームインスペクション)を依頼する人は非常に多いです。
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執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。