中古住宅を購入するとき、第三者のホームインスペクション(住宅診断)を利用する方が多くなりましたが、購入する物件の建物の状況を把握してから購入判断することは本当によいことですし、必要なことです。
購入判断のためにホームインスペクション(住宅診断)を利用することが多いですが、その目的のためには売買契約を結ぶ前に利用しなければいけません。購入したいと考える中古住宅を見つけてから売買契約を結ぶまでの間のタイミングです。
ここで1つの問題が生じます。それは、ホームインスペクションをしている間に、他の買主が先に購入してしまうリスクです。
そこで、中古住宅を購入する際のホームインスペクションにはスピードが大事になってくるわけです。今回は、中住宅を購入する流れのなかでインスペクションを利用するタイミングと、素早く依頼・利用するための方法を解説します。
中古住宅を購入する一般的な流れ
中古住宅を購入する一般的な流れを説明します。
- 物件を見学
- 購入の申込
- 住宅ローンの事前審査(仮審査)
- 売買契約
- 住宅ローンの本申込
- 融資実行・残代金の支払い・引渡し
一般的な中古住宅購入の流れは以上のようになります。もう少し詳しく購入の流れを知りたい人は、「中古住宅の購入・引渡しの流れと注意点」をご覧ください。
購入前にホームインスペクション(住宅診断)を利用する場合、「2.購入の申込」から「4.売買契約」の間のタイミングで利用するのがよいですが、ホームインスペクション(住宅診断)の結果が出て購入の意思を固めた後でないと購入の申込を受付てもらえないこともあります。
いずれにしても、購入の申込から売買契約までの期間は、あまりスケジュールに余裕が無いことが多いです。数日から10日間程度であることが多いです。
そのため、中古住宅の購入に際してホームインスペクション(住宅診断)を利用する場合は、スピードが非常に重要となり、急いで申込や診断の実行をするよう手配しなければなりません。
不動産会社の営業マンからも、「ホームインスペクションを依頼するのはよいですが、できる限り急いで実施してもらってください」と言われることも多いです。
中古住宅のホームインスペクションを素早く依頼するために
中古住宅のホームインスペクション(住宅診断)をできる限りに素早く依頼するために、買主がとるべき対応策は以下のとおりです。
依頼する業者を絞っておく
いくつかの中古物件を見学して物件探しを進める一方で、同時に依頼するホームインスペクション業者を2~3者までに絞っておきましょう。その際は、「ホームインスペクション業者の選び方」を参考にするとよいでしょう。この時点で、特定の1社だけに絞る必要まではありません。
ホームインスペクション業者のホームページを熟読
ホームページを熟読して、サービス内容を理解しておきましょう。調査内容・範囲、レポート(調査報告書)のサンプルの確認は必須です。報告書のサンプルがない業者は、少し心配すべきです。
各業者により、対応可能なエリアに違いありますから、この時点で購入したい物件の所在地が対応エリアに入っているか確認しておきましょう。
見積りと予約状況の確認
購入したい物件が見つかれば、速やかに調査料金の見積りと予約状況を確認しましょう。
希望の診断日・物件情報(面積や構造、所在地など)をホームインスペクション会社へ伝えて、対応可否と見積りを素早くとり、依頼する必要があります。
見積りや予約状況の確認をした際に、速やかに回答してもらえるかも大事なことです。契約前のインスペクションにスピードが大事なことを理解しているなら、各お問合せへの対応も早いはずです。
急いで依頼しようとするからには、急ぎの対応をしてくれることも大事ですね。
ホームインスペクションのオプション
また、床下や屋根裏のオプション調査については、木造住宅を買うならば前向きに利用を検討した方がよいでしょう。構造耐力上の主要な部分に関することや断熱に関することなど、大事な項目を調査できるからです。
また、建物の設計図を売主が持っていて耐震診断を実施できる場合は、最初にホームインスペクション業者へ相談しておきましょう。築年数が浅い(新しい)住宅ならば、耐震診断の必要性は低いですが、築20年以上なら実施することも検討したいものです。
ただし、設計図が無いなどの理由で耐震診断を実施困難な中古物件は大変多いですので、できることならやっておきたいという認識を持っておきましょう。
よりスピード感のある対応のために
中古住宅を購入するとき、不動産会社や売主との交渉を進めるなかでどうしても急いで購入するかどうか決断しなければならないときがあります。本来なら、ホームインスペクションの結果を受けてじっくり検討したいところですが、それだけの時間をとれないこともあるのです。
インスペクションには現地で立ち会おう
そういったとき、ホームインスペクション業者から提出される調査報告書を待てないこともあります。報告書が出来上がったらメールで送信してもらえるかどうかも大事ですが、調査の際に現地に同行して、調査内容と結果を現場で見て理解することも大事なことです。
現場で調査する様子を見ておくことで、わからないことをその場で質問することができるのも大きなメリットになります。よりスピード感のある決断が必要なときには、調査現場への同行は必須だと言えるでしょう。急いでいないときでも、できれば現場に同行して調査内容と結果を理解しておきたいものです。
不動産会社から判断を急かされたら焦るものですが、きちんとできる限りの準備をしておき、そのときに備えておきましょう。
執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。