新築一戸建ての完成物件について、第三者の専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を依頼するときに気になる調査の所要時間と当日の立会いの必要性や立会いのタイミングについて解説します。
ここでは、建築途中の検査や中古住宅、マンションのホームインスペクションについては除外し、あくまでも新築一戸建ての完成物件を対象としています。完成物件であれば、建売住宅の購入前(売買契約前)の依頼でも、建売や注文建築の契約後・引渡し前のタイミングであっても基本的には同じです。
完成物件のホームインスペクション当日の所要時間
ホームインスペクションのご依頼者様より、よく伺う質問の1つがインスペクションに要する時間です。
ご依頼者、不動産会社、建築会社の当日のスケジュール調整を考える上で、所要時間がどれくらいかかるか把握しておくことは必要なことです。
基本サービスだけで2時間くらい
新築一戸建ての完成物件のホームインスペクション(住宅診断)では、建物面積が100平米(=約30坪)であれば、凡そ2時間の所要時間が想定されます。
買主だけでチェックする場合は、チェックポイントもわかりづらく、且つ調査機材もないため、確認する範囲が限定されるため、30~60分くらいで終えることが多いでしょう。しかし、専門家が調査すると、2時間くらいの時間はかかるのです。
ここで言う基本サービスとは、床下や屋根裏(小屋裏)へ検査担当者(ホームインスペクター)が進入せずに確認できる範囲の調査を行うことを想定しています。
建物外部では、基礎・外壁・軒裏・屋根のうち、目視できる範囲、手が届く範囲の調査です。アネストでは、これに加えて完成済みの外構部分(カーポートやフェンス、犬走りなど)も基本サービスで確認しています。
床下・屋根裏(小屋裏)の調査も含めて3.5時間くらい
床下および屋根裏(小屋裏)の内部へ検査担当者(ホームインスペクター)が進入していき、奥まで調査へ入って調査するサービスをオプションで依頼することができますが、これを行うことで調査の所要時間は長くかかります。
建物のプランによって、進入しやすさ・進入後の動きやすさが違いますし、物件によって指摘事項の量などが違うため、所要時間の差異は小さくないですが、物面積が100平米(=約30坪)であれば、凡そ3.5時間の所要時間が想定されます(4時間を超えることもある)。
しかし、建物のプランによっては、床下または屋根裏のいずれかに進入できないことも少なくありません。建物によっては床下・屋根裏の両方に進入できないこともあります。
依頼者・売主・建築会社の立会いのタイミング
次に、ホームインスペクション(住宅診断)の当日の立会いについて説明します。
立会いすべき人・会社
住宅の買主(注文建築の場合は施主)は、特別に難しい事情でもない限りは立会いすべきです。調査内容とその結果について把握・理解しておくために立会いすることをお勧めします。
建売住宅の場合、売主および建築会社の立会いがあることが理想です。しかし、売買契約の前のタイミングであれば、これらの立会いがなく、仲介業者のみが立ち会うことも多いです。売買契約後・引渡し前のタイミングであれば、売主または建築会社の立会いがあるべきです。
注文建築の場合、完成後・引渡し前のタイミングには、建築会社が立ち会います。注文建築でありながら、建築会社が立ち会わないとなれば、一般的には対応がよくないと言えるでしょう。
当日の立会いするタイミング
前述したように、専門家がホームインスペクションを行うと、基本サービスだけでも2時間くらい、床下・屋根裏の進入調査も行えば、3.5時間くらいはかかりますので、その調査の間、誰がどのタイミングで立ち会うべきなのか、考えておく必要があります。
依頼者(買主または施主)
ホームインスペクション(住宅診断)の依頼者である買主または施主は、調査の最初から最後までずっと立ち会うことをお勧めします。調査内容と結果をより理解しておくためにも、最初から最後まで立ち会うことを基本として考えておいてください。
ただし、必須ではないですので、何らかの事情により困難な場合には、最後の30~60分くらいは立ち会って調査結果の説明を受けることを考えてください。
売主・建築会社(建売住宅の場合)
建売住宅の売買契約前で、売主や建築会社の立会いがない場合はやむを得ないですが、立会いして頂く場合でも最初から最後まで全て立ち会って頂くことは必須ではありません。調査の最後に、指摘事項の伝達やヒアリングができればよいので、最後の30~60分くらいは立ち会ってもらえればよいです。
不動産仲介業者
仲介業者は、売買契約前であっても売買契約後でも最初から最後まで立ち会うケースが多いですが、なかにはほかの仕事などがあり、長時間の立会いは難しいと言われることもあります。その場合、最初に開錠していただき、最後に施錠しに戻ってきてもらえればよいです。
売主などの立会いがあり、開錠や施錠をしてもらえるのであれば、仲介業者は立会いなしでも問題ありません。とはいえ、担当者としては自分のお客様が大事なインスペクションの立会いをしているのに、それに一緒に立ち会わないと判断することは一般的にはあまりないことです。
建築会社・ハウスメーカー(注文建築の場合)
注文建築で住宅を新築する場合、その工事を請け負った建築会社(ハウスメーカーを含む)が完成検査に立ち会わないということは一般的にはありません。当然に立ち会うものです。
ただし、床下・屋根裏を含めて3.5時間もの時間となれば、全ての時間に立ち会えないという担当者もいます。その場合、最初に開錠してもらえれば、一度、担当者には退席して頂くことも可能です。指摘事項の伝達などもあるため、最後の最後の30~60分くらいは立ち会って頂く必要があります。
経験上、注文建築の場合は、もっと長い時間(たとえば2時間以上)、立ち会ってもらえることが多いです。
ここまで、新築完成物件におけるホームインスペクション(住宅診断)の調査の所要時間や当日の立会いについて解説してきました。依頼するまでの流れや当日の一流れについて知りたい人は、「ホームインスペクション(住宅診断)の流れ」をご覧ください。
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執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。