新築の一戸建てやマンションを購入した人にとって、建物の完成後・引き渡し前に行われる内覧会は本当に大事な機会です。内覧会とは、建物の完成状態で、その施工品質(工事のミスによる不具合の有無)を確認する機会です。
今では、多くの住宅購入者が、この内覧会に建築士などの専門家(ホームインスペクターなどと呼ばれている)を同行するようになり、施工品質のチェックをしてもらっていますが、自分たちでセルフチェックする人もたくさんいます。
そして、自分たちだけで対応した人から、「わからないことが多かった」「何を診ればよいかわからなかった」「建築業者の説明が本当か心配だ」といった話を聞く機会が多く、プロに同行依頼しなかったことを後悔しているとの声も少なくありません。
そこで、一度、自分たちだけで内覧会に臨んでから後悔している人たち向けに、もう一度、内覧会をやり直しするときの注意点を紹介します。
内覧会を自分たちだけで乗り切るのは簡単ではない
内覧会を開催する目的の1つは、建物の完成状態をチェックすることです。つまり、竣工検査(完成検査)としての意味を持っています。建物の竣工検査を行うときに重要な要素ことは、以下の2点です。
- 建築や竣工検査に関わる知識・経験
- チェックするノウハウ
一般的には、この2点を持つ住宅の購入者は少ないですから、自分たちだけで適切に内覧会内を乗り切ることは難しいと言わざるを得ません。そこで、皆さんが判断しないといけないことは、以下の2つの選択肢のうち、どちらを選択するかという点です。
- 不動産会社・建築業者を概ね信頼する(それでもセルフチェック対策はすべき)
- 第三者のプロに同行依頼してチェック(ホームインスペクション)してもらう
第三者のプロに依頼するサービスをホームインスペクションとか内覧会立会い、内覧会同行などと呼んでいますが、これを利用するには費用もかかることですから、誰もが依頼しているわけではありません。自分たちだけで適切に乗り切ることが簡単ではないことを理解した上で、費用のことも考慮して、どちらの選択をするか検討しましょう。

内覧会でチェックすべきポイントを具体的に知ると、自分だけ対応することの難しさが理解できますので、チェックポイントも参照するとよいでしょう。
内覧会でプロに依頼せずセルフチェックする人も、依頼する人も多い
「不動産会社・建築業者を概ね信頼する」か「第三者のプロに同行依頼してチェック(ホームインスペクション)してもらう」か、2つの選択肢を挙げましたが、実際に内覧会でプロに同行依頼しない人も多いです。つまり、自分たちでできる範囲のチェックをしているわけです。
一方で、建物の知識や竣工検査の経験が無いことを考慮して、プロに同行依頼する人も多いです。
それぞれがどれくらいの割合であるか、参考となるデータがないため、判断しづらいですが、何10棟も開発・分譲しているようなエリアで、アネストだけで何棟か同行依頼を受けていることもあり、同業他社もあることを考慮すれば、多くの人が利用しているようです。
セルフチェックで後悔したとき、内覧会をやり直したいときの注意点
最初に、内覧会を自分たちだけ(購入者やその家族だけ)で対応しようと判断し、当日を迎えたものの、施工品質の確認を進めるうちに自信を無くし、不安が生じ、終わる頃には後悔したという人も少なくありません。
その際に、諦めて、そのまま引き渡しを受けて入居する人もいますし、もう一度、内覧会をやり直してもらって再チャレンジする人もいます。
内覧会のやり直しはできるか?
内覧会をやり直しできるか?と聞かれることがありますが、それは、売主・建築業者の対応やスケジュールによることですので、一概には回答できません。ただし、引き渡し日までのスケジュールにゆとりがあれば、やりお直しできることは多いです。
内覧会と引き渡し日の間隔が1週間程度しかない場合、引き渡し前にやり直しする日を設けるのは現実的に難しいですね。もし、売主(または建築業者)と買主が合意して、引き渡し日を延期できるなら、やり直しを引渡し前に実施することもできるでしょう。
悩まず、売主や建築業者に早めに相談することをお勧めします。
最初の内覧会で安易にサインしない
自分たちで内覧会に臨んでいる途中に、「やぱり、もう一度、内覧会をしてもらい、プロに依頼してチェックしてもらいたい」と考えた場合、最初の内覧会の際に、売主側から求められた書類に安易にサイン(署名)しないように注意してください。
書類の内容によりますが、「これ以降は、補修・是正を求めない」と書かれた書類にサインしてしまうと、その後は本当に対応してくれないことがあるからです。サインを丁重にお断りして、再度の内覧会を依頼してください。
早めにやり直したいこと、プロを同行することを伝える
内覧会の当日にやり直したいと考えなかったときや、売主側に伝えなかったときで、やり直しを希望するならば、できる限り早めに売主側へ要望を伝えて、日程調整するようにしましょう。売主や建築業者としても、補修工事や引渡し前の段取りなどで準備がありますし、急にお願いしてすぐに対応できるとは限らないからです。
また、2度目の内覧会には、プロ(=内覧会同行業者)に依頼することも伝えておく方がよいでしょう。事前に聞いていないと、売主側も十分な時間を用意していないことがあるからです。
所要時間を事前に伝えておく
内覧会の所要時間ですが、内覧会同行業者が調査する場合は、木造2階建て・建物面積 100平米程度の建物であれば、床下と屋根裏(小屋裏)の調査を含めて、3~4時間くらいが目安です。
床下と屋根裏の調査をしない場合は、2~2.5時間くらいが目安です。
所要時間は、指摘事項の量と内容、依頼者の質問量が大きく影響します。また、指摘事項への売主側の言い訳などを聞く時間で長引いている現場もあります。よって、ここで紹介した時間を1つの目安とだけ考えて、短縮されたり、長引いたりすることがあることを理解しておきましょう。そして、この時間について、売主側へ伝えておくとよいでしょう。
引き渡し前に内覧会を実施する
建物の施工不具合があれば、引き渡し前に指摘して補修対応してもらうことが理想的な順序です。引き渡しの際に購入金額・建築費用の決済をするわけですが、その後、対応が悪化する業者・担当者の存在が確認されているからです。
引き渡し前でも丁寧に、真摯に対応してくれるケースは多いのですが、そうではない業者もいるために注意すべきです。
どうしても引き渡し前に内覧会を実施できないときは、引き渡し後でも補修対応して頂くことを書面化しておくとか、購入金額の一部の支払いをせず残しておく(売主側と合意が必要)ことも考えて、交渉しておきましょう。
補修工事と補修後の再チェックも引渡し前に
引き渡し前に内覧会をすべきと説明しましたが、やり直しの内覧会でも同様です。できれば、引き渡し前に行いましょう。そして、そこで指摘した施工不具合などについて補修してもらった後の確認(再チェック)も引渡し前に行うことが理想です。
内覧会のやり直しを引渡し前に実施できたものの、その補修工事の実施時期がどうしても引き渡し後となる場合は、以下の対応を取りましょう。
- 原則、補修工事は入居前に負える
- 補修工事を終える時期(いつまでに完了するか)を明記した書面を作る
内覧会をやり直しするときは、その後の補修工事や再チェック、引き渡し、入居のことまで考えて対応が必要ということです。
まとめ
ここまで読んでみていかがでしたか。
- 内覧会を建築知識のない自分たちだけで乗り切ることが簡単ではないこと
- プロに同行依頼する人も、しない人も多いこと
- 内覧会をやり直しできる事が多いこと
- やり直しするなら、容易に書類にサインしない、所要時間などに注意すること
以上のことが理解できたと思います。
自分で対応する場合も、後悔しないように、しっかり準備して臨んでください。
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