住宅を購入する場合の多くは、以下のいずれかになります。
- 売主である不動産会社から購入
- 不動産会社の仲介(媒介)で購入
つまり、利害関係は別としても、不動産のプロがその取引に関係することになります。
よって、アネストのホームインスペクション、内覧会立会い・同行サービスを利用される方のほぼ全てにおいて不動産会社が取引に入っています。
所有している土地に新築する場合は、不動産会社が取引に関係していませんが、これは正確には購入とは言わず、住宅の新築です。売買契約ではなく、工事請負契約ですね。
しかし、全ての不動産取引に不動産会社が入るわけでもありません。一般個人の買主が一般個人の売主から直接に住宅を購入することも稀にはあるものです。今までにも、一戸建て、マンションを問わず、いろいろな個人間の直接取引を見ています。
個人が売主の物件を購入する場合は、通常は不動産会社が仲介をしますので、その不動産会社に仲介手数料を支払いますが、個人間取引ではその費用が必要ありません。コスト的なメリットがあるのですね。
しかし、現実的には一般個人の売主が自分で買主を探すことは困難ですので、そういった取引は少ないです。
個人間の直接取引を行う事例
現実的に個人間の直接取引をしているのは、以下のようなケースです。
- 売主と買主が知人・友人である
- 知人・友人の紹介で売主と買主が知り合う
- 近所の物件で売主と買主が顔見知りである
- 親族間の売買である
個人間の直接取引の多くは、こういった稀なケースに限られています。都会よりも地方の方が、全体の取引(売買)に占める直接取引の割合は高いと予想されます。
その理由は、田舎の方が不動産価格が非常に安い物件が多く、不動産会社が仲介しても利益が低くて儲けづらいからです。つまり、不動産会社があまり販売活動をしてくれないので、自力で探すことがあるということです。
個人間売買の課題と注意点
少ないとはいえ、個人間の直接取引のご相談を頂くことがあり、その場合の主な課題は以下のものです。
- 売買契約書類の準備
- 物件情報の正確な把握
- 住宅ローン審査上の問題
この3つの課題について説明します。
売買契約書
1つ目の売買契約書類ですが、不動産会社が取引に関与していればその不動産会社が作成します。しかし、個人間の直接取引では自分たちで作成するか、弁護士などに依頼するか、不動産会社に依頼するか、、、ということになります。
自分たちで作成するには、知識等の関係で困難なことが多いですね。互いに取り決めておくべき事項が漏れていては、後のトラブルになってしまう可能性があります。
物件情報の正確な把握
次に、物件情報の正確な把握の問題です。
買主にとっては、対象物件のメリット・デメリットを把握したいのは当然ですが、専門知識のあるものが関与していないと調べることもできません。これはリスクですね。ただ、このデメリットについては専門家の第三者サービスを利用することでリスクを抑えられます。弊社のサービスでは、中古住宅の住宅診断(ホームインスペクション)などがそうです。
住宅ローンの審査上の問題
そして、住宅ローン審査上の問題です。
金融機関の多くは、住宅ローンの審査をする上で、不動産会社が作成した売買契約書類を求める傾向にあります。(必ずではありません)
住宅ローンの申し込み時に提出する書類の1つになっていて、その記載内容に問題があれば、銀行にとってもリスクになりますので、リスクヘッジという意味でも当然の判断とも言えますね。
しっかりした契約書類の提出を求めることは、結果的に 直接取引を行う当事者のためにもなりますので、これはやむを得ないことでしょう。
このように、個人間の直接取引には、金銭的なメリットがあるものの、デメリットやリスクもあるため、慎重に進める必要があります。
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執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。