建売住宅でホームインスペクションを入れるタイミング

建売住宅は、土地と建物がセットになっていて、住宅ローンを組みやすく、購入後の早いタイミングで入居できる物件が多いことなどから、人気です。土地を持っている人や、資金に十分なゆとりがある人なら、注文建築でマイホームを建てる人も多いですが、そうでもなければ、多くの人にとって建売住宅はマイホーム購入時の主な選択肢になっています。

その建売住宅を買うときに、買主が建物の施工状態をチェックする目的で、ホームインスペクション(住宅診断)を利用することが多いです。

ここでは、建売住宅を購入する人や既に購入した人がホームインスペクションを利用するタイミングを解説していますので、インスペクションを検討している人は参考にしてください。なお、主に建て売りの完成物件を対象として紹介しています。

建売住宅にホームインスペクションを入れる4つのタイミング

4つのタイミング

建売住宅に対して買主がホームインスペクションを入れるタイミングとしては、大きく分けると以下の4つの機会があります。

  1. 売買契約を締結する前
  2. 売買契約後・引き渡し前
  3. 引き渡し後・入居前
  4. 入居後・居住中

いずれのタイミングで利用するとしても、建物の施工状態・品質を確認することが目的であり、その結果として、何か問題が見つかった際には売主に補修要求したり、タイミングや症状次第では自分でメンテナンスしたりしています。

一級建築士の建売住宅の住宅診断で安心できる

4つのタイミングの詳細を解説

タイミングの詳細

それでは、前述したホームインスペクションを入れる4つのタイミングについて、それぞれの詳細を解説します。

売買契約を締結する前

売買契約を締結する前、つまり、建売住宅を買う前のタイミングでホームインスペクションを利用することがあります。契約前に建物の施工状態を把握することで、その調査結果次第で購入するかどうか判断したい人が利用しています。

診断の結果、大きな施工ミスが見つかるケースもあることから、売買契約前に利用することは非常に有意義であり、ホームインスペクション業者としても、最もお勧めするタイミングです。

ただし、契約前に実施した結果、購入を中止する人もいることから、不動産会社がこのタイミングでの実施に対して嫌がることも少なくありません。スムーズに調査日程の調整などに応じてくれないケースもあるため、買主としては、「購入前に利用したい」という強い意思表示と粘り強い交渉が必要です。

売買契約後・引き渡し前

建売住宅に対するホームインスペクションの利用で最も多いタイミングは、売買契約の締結後で、且つ引き渡し前です。

インスペクションの調査結果に関わらず購入を決めている人は、売買契約を締結してから利用することも多いです。引き渡し前に建物の施工ミスなどが見つかった場合、基本的には売主の負担で補修・是正対応してもらえるので、有効なタイミングとなっています。

大きな施工ミスが見つかったときに契約解除したいと考えたとしても、解約するための十分な交渉力が必要なことが多く、結果的に契約解除できないときもあることから、解約ではなく、しっかり補修してもらって引渡しを受けることが多いです。

契約解除するほどのことはないレベルの指摘事項であれば、解約などは考えず、補修を求めていくことになります(このケースが最も多いです)。

ちなみに、この売買契約後・引き渡し前に利用されるホームインスペクションは、内覧会立会いや内覧会同行サービスと呼ばれています。

引き渡し後・入居前

建売住宅を購入して引き渡し後にホームインスペクションを利用する人もいます。購入前や引渡し前のタイミングでホームインスペクションというサービスを知らなかった人が、このタイミングで利用を検討することがあります。

既に引き渡し後である場合、できれば、家具・家電・家財道具などを運び込む前、入居する前にインスペクションを入れるようにしましょう。その理由は、家具等があることで、見られない範囲が生じるからです。同じ稲生ペクションを利用するなら、できるだけ広範囲に診てもらいたいですよね。

入居後・居住中

建売住宅を購入後で、且つ既に入居後の段階でホームインスペクションの利用を検討する人もいます。それまで、ホームインスペクションを知らなかった人もいますし、購入時に利用したものの、建物の再点検を目的として再利用する人もいます。

入居後のできるだけ早いタイミング(3ヶ月・6カ月点検)

既に入居後の人で、購入時(引き渡し前後を含む)にホームインスペクションを利用していない人であれば、入居後のできるだけ早いタイミングで利用することをお勧めします。

その理由は、2つあります。1つ目は、何か不具合があるなら、早めに補修する方が被害の拡大を抑えられることがあるからです。2つ目は、施工不具合の指摘と補修の要求を早くする方が、売主および建築会社に対応してもらいやすい傾向にあるからです。

売主などによる入居後の3ヶ月点検や6カ月点検があるなら、そのタイミングで実施するのも悪くありません。

1年・2年・5年点検

新築住宅を購入すると、1年・2年・5年を経過したタイミングなどで、定期点検をすることが多いです。この点検は、長期優良住宅でもない限り、義務化されているわけではないので、実施されないこともあります。よって、買主から売主に定期点検をするかどうか聞いてみるとよいでしょう。

1年点検、2年点検などの定期点検では、見つかった症状によっては、売主の費用負担で補修対応してくれることも多いです。購入時に第三者のプロ(ホームインスペクター)にホームインスペクションを依頼していないなら、このタイミングで依頼するとよいでしょう。

なお、長期優良住宅の認定を受けた住宅ならば、5年点検があるはずなので、その際に依頼を検討するのもよいでしょう。

10年保証が切れる前

入居後の建売住宅において、ホームインスペクションをするタイミングとしては、10年保証の期限が切れる前も有効な時期として挙げられます。

新築の建売住宅を購入すると、購入後10年間は、建物の基本構造部分(構造耐力上の部位と雨漏りを防止する部位)について保証することが法律で義務付けられています。この保証期間内に建物の瑕疵(施工不具合など)を指摘して補修等の対応を求めておけば、売主側の負担で対応してもらうことができます。

また、建物が10年も経過すれば、新築時の施工不良でなくても、劣化により様々な症状が出てくることです。このタイミングで建物点検しておくことで、必要な補修・メンテナンスを考える良い機会にもなります。

新築一戸建て住宅診断(建売のホームインスペクション)

まとめ

建売住宅

建売住宅を購入する人、または購入した人が、ホームインスペクションを入れる4つのタイミングについて紹介しました。購入前や購入後、入居後であっても、それぞれの時期において利用する価値があることがわかったのではないでしょうか。

購入してから後悔しないために、建て売りを買って失敗したと感じないために、そして適切にメンテナンスしていくために、インスペクションの依頼を考えてみるとよいでしょう。

もし、建築途中の建売住宅を購入するなら、完成後だけではなく、建築中の住宅検査も検討するとよいでしょう。完成後だけよりも、より効果的なインスペクションを受けることもできるでしょう。

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。
住宅
ホームインスペクション

住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。