新築住宅を取得するならば、建売住宅を買う人が多いですね。建売と言っても、分譲する会社(売主)にも様々な特徴があります。建売住宅の購入時に知っておきたい基礎知識の1つとして、建売住宅の分譲業者を5つに分類して解説します。
パワービルダー
建売住宅の年間供給棟数が多い会社で、各社が数百から数千棟もの新築住宅を世に送り出しています。1区画のみの分譲も行うが、1つの販売地で複数棟の物件を手掛けることが多いです。今はあまり自社販売をしておらず、仲介業者に販売を任せる傾向が強いです。
コストダウンを徹底して建築費を抑えることや土地の開発から手掛けることで、価格帯が他社の物件よりも低価格であることが一般的です。一方で、施工品質や人的な対応に対する批判も多く、口コミを見て心配する人も多いです。供給棟数が多いことから、後述する地域の中小規模の不動産会社よりも悪い口コミが広がりやすいとも考えられます。
施工品質は2000年代に比べれば、徐々に改善がみられています。但し、広範囲のエリアで多数の下請け建築業者と提携しており、下請け次第でひどい施工品質となることは決して少なくありませんし、抜本的な改善にはまだまだ時間はかかりそうです。
安くて買いやすいけれども、対応や施工品質でちょっと心配があるというのが、市場の一般的な見方です。
大手ハウスメーカー
ここでいう大手ハウスメーカーとは、積水ハウスやダイワハウス、へーベルハウスなどの企業です。誰もが聞いたことのある社名ですね。
主に注文建築を請け負っているハウスメーカーが、建売住宅の分譲もする形です。例えば、郊外で大きなまとまった土地の開発を行い、区画によっては注文建築の請負用に土地を分譲したり、別の区画では建物を建てて建売住宅として分譲したりすることがあります。
パワービルダーは、街中の20坪程度の土地でも建売の分譲を行っていますが、大手ハウスメーカーは30坪程度以上の土地を扱うことが大多数でで、価格帯も高めの設定です。
高めの価格帯だけれども、設備・仕様などがよくて安心感があるというのが、一般的な見方となっています。
地域の不動産会社
地域密着型の不動産会社による建売住宅もまだまだ多いです。パワービルダーが台頭してくる前までは、このタイプの不動産会社による分譲が多かったのですが、低価格を武器にするパワービルダーにおされ気味のエリアも多いです。
年間供給棟数が数棟(一けた)から20棟以下という会社が多く、会社によっては営業マンを抱えず、販売は仲介業者に任せていることも多いです。また、普段は仲介業がメーンでありながら、土地を取得できたときにたまたま建売もしているという会社もあります。
以前は建物の坪単価が60万円前後という時代がありましたが、低価格化の波で坪単価50万円前後ということも多いです。
施工品質や人的な対応の良し悪しは会社によって大きく異なりますが、建築は大半の業者が外注であり、企画や販売(営業)に専念していることから、建築現場への関心度が低く、工事の発注主でありながら建築中や完成時の検査をまともにしていないことが多いです。
よって、普段からともに仕事をしている下請けの建築業者次第で建物の品質が決まるようなところがあります。
建設業がメーンの不動産会社
普段は建設業で他社の請負をメーンとしていながらも、土地を仕入れたときにたまに建売の分譲をしている会社もあります。建設業も不動産業もしているので、前述の「地域の不動産会社」と重なる業態でもあります。
年間供給棟数は10棟以下ですが、0棟という年もあるでしょう。施工品質は自社で建築するわけですから、その会社次第です。
フランチャイズ形式の不動産会社・建築会社
建設業や不動産会社のフランチャイズ(FC)となっている会社もあります。また、似た形式でボランタリーチェーン(VC)というものもあります。
商標権の利用ができる程度で、技術的なものにはあまり関与していない本部と強く関与しているものがあり、個々で相違があるので一概には説明できないところがありますが、多くの場合は、前述の「地域の不動産会社」と同等のものです。
これから建売住宅を買う人にとって、どれに分類される会社が良いか決められるものではありません。希望する地域で予算にあう価格帯で、そして探しているタイミングで分譲されているものから選んでいくわけですから、この分類のいずれかに固執すべきということではありません。
この分類と基本的な特徴は、建売住宅の購入を判断する際の基礎知識としてください。
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執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。