住宅を購入するまでは、土地のこと、建物のこと、住宅ローンのこと、税金のことなど、様々なことに対処しながら前へ進めてきたことでしょう。その住宅に入居してから後は、その住宅の維持や管理、メンテナンスのことも考えながら暮らしていくことになります。
ここでは、建物の維持・管理に関する住宅の定期点検について解説しています。
住宅の定期点検とは?
住宅の定期点検とは何であるかご存知でしょうか。建物本体や設備などの状態を把握するために、目視や調査機材を使用して確認していく作業のことを建物の点検と言い、これを定期的に実行することを定期点検と言います。
住宅の定期点検の目的
住宅の定期点検を行う目的は、建物の抱える問題点を把握して、それを早期に補修等で対応していくことにより、長く安心して暮らせる状態を保つことだと言えます。劣化や新築当時の施工ミスなどがあれば、早期発見・早期対処することが住宅のためになるのです。
適切な定期点検とメンテナンス(修繕)をしているかどうかで、20年後、30年後のあなたのマイホームの状態は大きく違ったものになりえますので、まずは点検から始めてみましょう。
定期点検で確認する内容
定期点検では、主に以下のような調査を行うべきです。
建物外部においては、基礎や外壁、軒裏、屋根の確認を行い、ひび割れやジャンカ、仕上げ材の著しい劣化などの症状が出ていないか確認します。屋根の上面は屋根上へ登って確認する作業が大変で危険を伴うため、ベランダなどから見える範囲に限って調査することが一般的です。
サイデイングの継ぎ目やサッシ周り、バルコニー周りの劣化の確認と早期の修繕は、雨漏りリスク軽減のためにも重要な役割を果たします。
建物内部においては、扉やサッシなどの建具の動作状況、床や壁の傾き・歪みの確認、さらには壁や天井のひび割れの確認を行います。
そして、重要な箇所として挙げられるのが床下や屋根裏(小屋裏)の確認です。このスペースは普段から確認することがほとんどないため、点検のときにはしっかり見ておきたいスペースです。
できれば、5年か10年に1回は、床下や屋根裏へ進入して、状況を確認しておきたいものです。
自宅(マイホーム)の定期点検は誰が行うのか?
住宅の点検作業は、誰が行うべきものでしょうか。その住宅の所有者が行うべきことではありますが、確認しても発見した症状をどうのように判断するかわからず、また問題ある症状を問題が無いと勝手に思い込んでしまうリスクもあります。
建物の点検は、知識や経験が求められる作業ですから、自分自身できちんと実行するのは難しいものがあるでしょう。そうなれば、その住宅を新築した業者か全く利害関係のない第三者による点検が考えられるものです。
新築業者による定期点検
建売住宅であれば、その売主か売主が発注していた施工業者にて定期点検が多いです。注文建築ならば、建築したハウスメーカーが行うわけです。
ただ、新築した業者による点検に対しては、以下の事実を把握しておく必要があります。
建物に瑕疵などの問題が発見されれば、施工時のミスであることを証明してしまうこともあるため、点検時に確認した症状も放置してしまうケースがあります。新築した業者は利害関係者ですから、自分たちに不利なことは言いたがらないことが多いのです。
第三者による建物の点検
住宅診断(ホームインスペクション)の基本となる考え方は、やはり利害関係のない第三者の立場で実行することです。これができないならば、点検してもらっている意味もあまりないでしょう。
業界経験・知識のない人ではなく、利害関係のない人でもないとなれば、第三者の専門家(一般的には一級建築士)に依頼するのも1つの方法です。
一級建築士が新築業者などと利害関係のない人であるならば、これが最も信用できる立場なのではないでしょうか。
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執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。