家を買うときやリフォームするときなどに、ホームインスペクションが利用されることが増えました。インスペクションで建物を調査して、購入判断やメンテナンスなどに活用しようとする人はどんどん増えており、建物を長持ちさせようという意識が高まっているのは明らかです。
ホームインスペクションは、新築住宅にも中古住宅にも利用されていますが、中古住宅においては、その売買の際に不動産会社から売主や買主に対してインスペクションの利用を希望するかどうか意思を確認して、希望するならホームインスペクション業者の斡旋・紹介を希望するかどうかも確認することが宅地建物取引業法によって義務化されています。
つまり、法律で規定するほどに、ホームインスペクションは注目度が高いサービスとなっているわけです。
一方で、ホームインスペクションは、多くの依頼者にとって繰り返し何度も利用するものではないため、知識と経験の不足により、「依頼すべきかどうか判断しづらい」「どの業者に依頼するとよいのか?」「不動産会社が紹介する業者に頼んで客観性(第三者性)を保てるのか?」「依頼のタイミングがわからない」などと、わからないことばかりです。
特に中古住宅では、不動産仲介業者から、「早く契約しないとすぐに売れてしまう。インスペクションを入れている暇がない」などと言われて、ゆっくり検討する時間をとれず、困っている人も多いです。
そこで、ホームインスペクションを中古物件に対して利用するかどうか検討中の人向けに、インスペクションやこれと類似する用語(住宅診断・住宅検査・建物状況調査・既存住宅状況調査・耐震診断)の説明、利用する目的とタイミング、調査内容、インスペクションの必要性と指摘事例、費用、申し込みの流れなどについて、詳しく解説します。
これだけを読めば(少し長文ですが)、中古住宅向けインスペクションの基本的なことや必要性、注意点を理解できるようになっていますので、参考にしてください。
中古住宅とホームインスペクションの基礎の基礎
最初に、中古住宅とホームインスペクションに関する基礎的なことを解説します。
中古住宅とは?
中古住宅が何かを知るためには、まず新築住宅の定義を知る必要がありますが、新築住宅とは、建物が完成してから1年以内で、且つ誰も居住したことがない住宅のことを指しています。この新築住宅の定義は、住宅の品質確保の促進等に関する法律の第2条の2項にあるものです(以下)。
引用文:この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
住宅の品質確保の促進等に関する法律
次に、平成29年国土交通省告示第81号(既存住宅状況調査技術者講習登録規程)の第2条3項において、以下のとおり規定されています。
「既存住宅」とは、新築住宅以外の住宅をいう。
国土交通省告示第81号
つまり、中古住宅とは、建物完成後1年を超過しているか、1年以内であっても誰かが居住したことがある住宅ということになります。
築2年や3年の築浅の住宅なら新築住宅という人もいますが、本当は中古住宅ということになります。また、新築完成後半年くらいでも人が住んだことがあるなら、中古住宅ということになります。
ホームインスペクションとは?
ホームインスペクションとは、建物を調査する専門家が、建物の施工状況や劣化状態を現地で目視等の方法によって調査・診断するサービスです。
調査する専門家は、一般的には、建築士の資格を保有していて、建築設計や監理、現場管理などの経験をしてきた人たちであることが多いです(経験値は個人差が大きいです)。この専門家のことをホームインスペクターと呼ぶことも多いです。
ホームインスペクションは、住宅売買の際に売主や買主が依頼することが最も多いですが、所有する不動産の点検やメンテナンスのために利用することもあります。
つまり、築1年以上もしくは1年未満であっても誰かが使用したことがある住宅について、ホームインスペクターが建物の劣化状態の有無を調査・報告する建築専門サービスが、中古住宅のホームインスペクションです。
住宅診断や住宅検査も同じ
ホームインスペクションと同じ意味で、または類似する意味で使われる用語に、住宅診断や住宅検査があります。これらは、会社や人によって使う言葉が異なるものの、基本的には同じ意味で使われることが多いです。
ちなみに、建物調査は、住宅以外に商業ビルや学校など、住宅以外の用途の建物の調査についても含めたものですから、より広義な意味を持ちます。
建物状況調査と既存住宅状況調査と耐震診断
中古住宅のホームインスペクションについては、「建物状況調査」「既存住宅状況調査」「耐震診断」の3点についても一緒に理解しておく必要があります。
建物状況調査
建物状況調査とは、宅地建物取引業法(略して、宅建業法)によって規定されているホームインスペクションの一種です。
2018年(平成30年)4月1日施行の改正宅建業法により、宅建業者(=不動産会社)が売主や買主に対してインスペクション業者の斡旋の可否を示すことを義務化されました。これは、事実上、インスペクションの存在とその概要を不動産会社から売主・買主へ説明することを示しています。
宅建業法では、インスペクションではなく、建物状況調査という名称で記載しており、その内容は建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の状況の調査としています。
既存住宅状況調査
既存住宅状況調査については、平成29年国土交通省告示第81号(既存住宅状況調査技術者講習登録規程)の第2条3項において、「既存住宅に係る住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十四条第一項に規定する住宅の構造耐力上主要な部分等の状況の調査をいう。」とされており、この品確法94条には、構造耐力上主要な部分等とは「住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分」となっています。
つまり、既存住宅状況調査とは、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分についての調査ということです。
ここでわかるのは、建物状況調査と既存住宅状況調査の内容がともに「構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分についての調査」で一致すること、つまり同じものであるということです。
ホームインスペクションは、新築も中古住宅も対象となりますし、調査内容について明確な定義があるわけではないので、いろいろな意味で使われることがある呼称ですが、建物状況調査と既存住宅状況調査については、調査内容が法律や告示によって規定されているという違いがあることがわかります。
建物状況調査と既存住宅状況調査は同じ者であり、且つ、ホームインスペクションの一種です。そして、ホームインスペクションはもっと広い意味で使われる言葉ということですね。
耐震診断
耐震診断とは、建物の耐震性について診断するものであって、一般的には設計図の閲覧と現地調査によって得た情報から耐震性を計算するものです。建物の劣化具合は耐震性に関係することから、現地で行う調査内容は、ホームインスペクションと重なる点も多いですが、重ならない調査項目もあります。
また、ホームインスペクションでは耐震性の確認まではしておらず、耐久性に関する点や構造耐力や住宅性能に関わるような欠陥の確認が主となります。
建物の耐震に関する安全性を把握したいのであれば、耐震診断を利用する必要があります。中古住宅購入の際に利用する人は、ホームインスペクションと耐震診断を一緒に利用する人も少なくありません。
ただし、耐震診断は、そもそも実行できない物件が多いという問題があります。
インスペクション・建物状況調査・既存住宅状況調査・耐震診断の調査範囲の違い
ここまでに説明したとおり、ホームインスペクション・建物状況調査・既存住宅状況調査・耐震診断の4つは、似ている部分や重なる部分があるものの、異なる点もあることを理解しておきましょう(建物状況調査と既存住宅状況調査は同じです)。
これらの調査範囲を図解すると以下のとおりです。
上のイメージ図のとおり、基本的にはホームインスペクションが広義の意味で使われている言葉です。これから住宅を購入したり、リフォームしたりするときには、建物状況調査(既存住宅状況調査)の調査内容だけでは、必要な情報が不足することもあるため、図で表示しているところのホームインスペクションを依頼することをおすすめします。
なお、雨漏りや床下漏水、建物の傾き・沈下などの欠陥工事、施工不具合の原因や被害範囲を詳細に調査するサービスもホームインスペクションと呼ぶこともありますが、これは上の図には含んでいません。
ホームインスペクションの利用目的と依頼するタイミング
中古住宅向けのホームインスペクションに関して、利用する目的とその目的ごとに依頼すべきタイミングを紹介します。
中古住宅の購入判断の参考とするため
中古住宅向けホームインスペクションの利用で最も多い目的は、購入する前に判断材料とするために利用する人です。この診断により、建物に著しい欠陥(不具合)や補修困難な劣化が見つかれば、購入を中止することができるため、利用が多いのも当然でしょう。
購入の流れとインスペクションのタイミング
- 現地見学(内見)
- 購入申し込み
- ホームインスペクション
- 手付金の支払いと売買契約の締結
この目的のために依頼するべきタイミングは、現地見学(内見)した後、売買契約を締結するまでの間です。購入申し込みを済ませてから利用してもよいでしょう。
購入した直後の住宅のリフォーム・メンテナンスのため
中古住宅を購入した直後で、リフォームやリノベーション工事をする前に利用する人も多いです。インスペクションで不具合が見つかれば、リフォームと同時に補修してもらえるメリットがあります。このタイミングでは、リフォーム前、工事中、工事完了後と複数回の機会があります。
購入・インスペクション・リフォームの流れ
- 手付金の支払いと売買契約の締結
- 引き渡し
- ホームインスペクション
- リフォーム開始
- ホームインスペクション(工事中に)
- リフォーム完了
- ホームインスペクション
もちろん、上の全てのタイミングでインスペクションを依頼すべきとは言いません。必要なタイミングは、工事規模・内容・工程・心配する点などによって異なるため、ホームインスペクション業者と相談して決めてください。
工事完了後だけ依頼するよりは、工事開始前や工事中の方が依頼者にとってメリットが大きいことが多いです。
売却するときの参考資料とするため、売りやすくするため
自宅など、所有する不動産を売却する際に、その所有者(=売主)がホームインスペクションを依頼することも少なくありません。
この場合の目的は、主に以下の2つです。
主な2つの目的
- 買主向けに建物の情報を開示して安心して買ってもらいたいという販売促進目的というケース
- 不具合があれば買主に開示してから契約することで、取引後に損害賠償請求されるようなリスクを減らすためというケース
この目的で依頼するのであれば、売却活動の開始前がベストタイミングですが、既に売却活動が始まっているならば、今からでも遅くはありません。
相続した住宅の建物の状態を把握するため
ホームインスペクションの依頼件数全体に占める割合は高くないですが、相続した住宅(実家など)に対して依頼する人もいます。多くの場合、
相続した実家は築年数が古いため、リフォームして自ら入居したり他人に賃貸したりするにしても建物の状態を把握しておきたいというニーズがあります。また、調査結果次第で、そのまま売却するか、土地として更地にして売却するか検討するための判断材料として利用することもあります。
この場合、いつまでに依頼すべきということもないですが、いつまでも放置しておかず、できるだけ早めに診断しておいてはいかがでしょうか。
自分で居住中の自宅の状態を把握するため(住まいの健康診断のため)
ここまで見てきた依頼目的やタイミングは、住宅購入、売却、相続、リフォームなどはっきりとした大きなイベントが発生したときですが、最近は、大きなイベントがないタイミングでもホームインスペクションを依頼したいと考える人が少なくありません。
利用する目的や理由は様々ですが、その一例を挙げて紹介します。
自宅の健康診断を利用する目的
- 購入後、一度も専門家に診てもらっていないために建物の状態を把握したい
- 新築で購入後、もうすぐ10年保証の期間が切れるので点検したい
- 新築時の売主の2年保証が切れる前に点検したい
- 長期優良住宅の定期点検を機に依頼したい
- 気になる建物の不具合らしきものがあるので、点検したい
他にも依頼する目的は多岐にわたりますが、これらの目的で依頼する場合に注意しておきたいのは、保証などの期限がある場合は、その期限の少なくとも1カ月以上前に利用しておくべきという点です。調査して報告書が提出されてから、対応方法などについて検討する時間が必要なことがあるからです。早めに動いておくことをお勧めします。
後悔しないために利用する
ホームインスペクションを利用する目的を紹介しましたが、「買ってから後悔しないため」「リフォーム後に後悔しないため」「保証が切れてから不具合に気づいて後悔しないため」といったように、将来の後悔・失敗を防ぐことが目的に深く関係していることがわかりますね。
調査内容
中古住宅のホームインスペクションで専門家が調査する内容を紹介します。個々の業者によって際があるため、ここでは、2004年からインスペクションの実績があり、多数のノウハウを積んでいるアネストの調査内容をベースとして説明します。
建物の外部
建物の外部の調査は、建物本体に関わる部分と外構に関わる部分にわけることができます。
建物本体
場所/部位 | 症状等 |
---|---|
基礎 | ひび割れ・欠損・ジャンカ・蟻道など |
外壁 | ひび割れ・欠損・シーリングの破断など |
軒裏 | ひび割れ・水染みなど |
屋根 | ひび割れ・欠損・カビなど |
雨樋 | ぐらつき・割れなど |
バルコニー・ベランダ | 床・手すり壁の割れ・腐食・ぐらつき・保護層の割れや剥がれ・笠木と外壁の取合い等のシーリングの破断など |
その他 | 境界の明確性、構築物や植栽等の越境など |
外構部分
場所/部位 | 症状等 |
---|---|
玄関ポーチ | 床・壁・天井の浮き・割れなど |
車庫・駐車スペース | 床面のひび割れ、支柱のぐらつきなど |
犬走り | 割れなど |
フェンス・ブロック・門扉・門柱等 | 割れ、ぐらつきなど |
建物内部(屋内)
場所/部位 | 症状等 |
---|---|
床 | ひび割れ・欠損・沈み・傾きなど |
壁・柱 | ひび割れ・欠損・傾き・水染みなど |
天井 | ひび割れ・欠損・水染みなど |
扉・引き戸 | 開閉不良・隙間など |
サッシ | 開閉不良・ガラスの割れ・鍵の施錠など |
水周り設備 (キッチン・トイレ・UB等) | 排水テスト(配管等からの漏水チェック)・引き出し等の動作確認など |
床下 | 基礎のひび割れ・欠損、土台等の床組みの状態、鉄筋の露出、金物の状態、シロアリ被害、断熱材の状態、配管のぐらつきなど |
屋根裏 (小屋裏) | 梁等の構造材の割れ・欠損、金物の状態、断熱材の状態、水染み跡(雨漏りの疑い)など |
調査内容を簡単に整理してあげても以上のとおり、多岐にわたります。
構造耐力に関わる不具合や雨漏りなどの防水上の問題、シロアリ被害、断熱性能に関わる不具合、水道設備(給排水管)の不具合などです。電気設備は、ダウンライトの点灯確認程度です。
依頼する前に理解しておきたいこと
中古住宅のホームインスペクションの依頼者が、依頼する前に理解しておきたいこととしては、以下の4点があげられます。
依頼者が理解しておくべきこと
- 調査時に目視できる範囲が対象であること
- 床下・屋根裏は進入できない住宅もあること
- 水道・電気が使用できないと排水テストと点灯確認ができないこと
- 一般的にガスの点検が含まれないこと
既存の建物を調査するわけですので、隠れていて確認できない範囲もあります。
たとえば、基礎コンクリートの内部状況や壁内の状況は基本的には確認できません。ホームインスペクションは、様々なシーンで有効なものですが、何もかも調査できるわけではないことを理解しておきましょう。
中古住宅のホームインスペクションの必要性と指摘事例
購入しようとしている中古住宅に対してホームインスペクションを入れようと考え、不動産会社に受け入れのお願いをしたとき、不動産会社の営業担当者から、「ホームインスペクションは必要ない」「意味がない」「利用する人はほとんどいない」などと言われて、依頼する必要がないのかと迷うことがあります。
また、はっきりと拒否する不動産会社や売主も僅かながらいます。
住宅購入者としては、建物の状態をきちんと把握してから購入判断したいと考えるのは、自然なことですし、そもそも前述したように、宅建業法によって事実上、不動産会社から買主にインスペクションについて概要を説明して利用する意思や業者の紹介希望があるか確認しなければならないと決められているのに、不動産会社の対応は不思議であり、おかしなものですね。
中古住宅を買うときには、ホームインスペクションが必要ないか?と疑問を持つ人に、その必要性について説明します。
知らずに不具合を放置すると対応コストが高くなる
長い間、多くの物件に対してインスペクションをしてきた実績から、多くの建物に何らかの不具合(著しい劣化や新築やリフォーム時の施工不良など)があることを見てきました。
もちろん、見つかった不具合が大きな問題ではないものや、容易に補修対応できるものが多いので、見つかったからといって全て購入中止とすることはないですが、気づいていなければ、問題を抱えたまま住み続けることになってしまいます。
そして、不具合に気づいたときには、問題が大きくなっていて、その補修等の対応に多大な手間とコストが掛かることもあるのです。そういうリスクを抑えるためにも、ホームインスペクションが必要だと言えます。
購入する際に「ホームインスペクションは必要ない」と言っていた不動産会社や拒否した売主が、責任をおってくれればよいのですが、現実にはそうはいかず、買主がリスクを負って購入することになります。
必要ないが嘘だとわかるインスペクションの指摘事例
ホームインスペクションを中古住宅に対して依頼した際に、実際にどのような指摘事項があがっているのか気になりませんか?見つかっている不具合を知ることは、インスペクションが必要なものかどうか検討するときの良い材料となるでしょう。
以下で写真付きで指摘事例の一部のみを紹介します。
以上が実際に見つかった指摘事例ですが、いかがでしょうか。
こういったことがありうるにも関わらず、不動産会社は「必要ない」などということがありますが、購入した後は基本的には自己責任になりますので、よく考えて判断しましょう。
インスペクションを依頼するとかかる費用はどのくらいか?
ホームインスペクションを依頼するか考えるときに気になることの1つが、その費用です。実績・経験のある専門家が時間をかけて調査をすれば、それなりに調査費用がかかるものですが、その金額への受け止め方は人によって差異があります。「高すぎる」「それくらいで依頼できるのか」などいろいろな意見、感想がありますが、ここでは中古住宅向けホームインスペクションの料金について紹介します。
一戸建て
中古一戸建て向けのホームインスペクションの調査料金は以下のとおりです。
調査内容 | 費用(調査料金) |
---|---|
基本サービス (最低ラインの簡易的な調査) | 4~6万円 |
基本サービス (詳細調査) | 5.5~8万円 |
床下の調査 | 1.5~3.5万円 |
屋根裏(小屋裏)の調査 | 1.5~3.5万円 |
詳細報告書 | 0~1万円 |
詳細報告書は基本料金に含む業者と別途費用の業者があります。そもそも、詳細と謳いつつもそれほど詳細ではない報告書を提出する業者もありますので、必ず、依頼する前にサンプルを見せてもらって比較すべきです。
マンション
中古マンション向けのホームインスペクションの調査料金は以下のとおりです。
調査内容 | 費用(調査料金) |
---|---|
基本サービス | 4~6万円 |
コンクリート圧縮強度試験 | 1.5~3万円 |
基本サービスの調査範囲は、対象住戸の専有部分と専用使用できる共用部(バルコニー等)と、マンションのメインエントランスから該当住戸へ進む間に目視できる共用部の床・壁・天井などであることが一般的です。
ここで紹介した費用は、住宅売買に際して利用される一般的なインスペクションのものです。これに既存住宅売買かし保険を付ける場合や、特別に理由で専門的な調査をする場合は別途費用がかかります。これらについては、以下をご参照ください。
中古住宅向けホームインスペクションの利用の流れと申し込み方法
中古住宅の購入に際してホームインスペクションを利用するときの流れおよび申し込み方法について説明します。「ホームインスペクションの利用目的と依頼するタイミング」でも簡単に流れを説明していますが、ここではより詳しく説明しています。
中古住宅の購入の流れとインスペクションのタイミング
一般的な中古物件の住宅購入の流れは以下のとおりです。これは、一戸建てでもマンションでも大きく変わりありません。
- 物件の内見(現地見学)
- 住宅購入申し込みと申込金の支払い
- 住宅ローンの仮審査の申し込み
- ホームインスペクション実施の申し入れ
- ホームインスペクションの申し込み
- ホームインスペクションを実施
- 重要事項説明
- 売買契約と手付金の支払い
- 住宅ローンの本申し込み
- 住宅ローンの融資実行と住宅購入代金の残金の支払い・引き渡し・登記申請
- 入居(引っ越し)
以上が、全体の流れですが、必ず、このとおりに進められるとは限りませんので、注意が必要です。
「2.住宅購入申し込みと申込金の支払い」から「4.ホームインスペクション実施の申し入れ」までは、基本的には同時進行ですが、不動産仲介業者や売主によっては、ホームインスペクションを実施し終えてから、住宅購入申し込みを受け付けするということもあります。
他の購入希望者が出てくる可能性を考えて、多くの買主としては、その物件を購入すると考えてから、ホームインスペクションの実行日(調査日)を急いで手配したいことが多いです。物件の内見直後の早いタイミングで、インスペクション業者に対応可能日を問合せして、早めに手配することを心がけてください。
ホームインスペクションの申し込み方法とその流れ
ホームインスペクションの申し込みは、基本的には書類等で実施することとなっており、インスペクション業者のHPから手続きすることが多いです。以下の流れで進めましょう。
- 不動産会社にまたは売主へホームインスペクション実施の申し入れをする
- 不動産会社に調査可能日を聞く
- インスペクション業者へ日程・見積りを問合せする
- インスペクション業者のHP等より申し込みする
- 必要書類をインスペクション業者へ送付する
- 調査日にインスペクションを実行する(現地に同行して調査結果を確認する)
- 調査報告書を受領する
以上が一般的なインスペクションを依頼する流れと申込方法です。
調査当日には、できる限り、依頼者が現地に立会いして、調査の様子を見つつ、質問したいことがあれば、その場で聞いていくとよいでしょう。後から調査報告書だけを見るとよりも理解しやすいので、同行することをお勧めします。
インスペクション当日の現地での流れ
最後に、ホームインスペクションを実施する当日の現地における流れを紹介します。
- 対象物件の前で集合・待ち合わせ
- 調査の概要の説明
- 屋外から調査を開始
- 屋内の調査を開始
- 屋根裏および床下の調査を開始
- 調査結果の説明と質疑応答
- 解散
以上が、中古住宅のホームインスペクション当日の一般的な流れです。
依頼者は、その時の状況に応じて、疑問点などを調査途中や調査完了時に質問することができます。調査報告書(レポート)は、後日送付されますので、それを見てから担当のホームインスペクターへ質問、相談することもできます。
執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。